心のページ
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このページは市民から人格者と認められ、思想的に偏らない方に事務局からボランティアをお願いし、悩みの多い青少年や市民にメッセージを送っていただくコーナーです。



坂井孝之さん
プロフィール

昭和21年東京生まれ。
2歳の時、病気で失明。3歳より横浜訓盲学院で学ぶ。
高校2年生の時フルートと出会い、新井力夫氏に師事。
1970年第20回全国盲学生音楽コンクールにて優勝。
フルートのほか、リコーダー、オカリーナ、ケーナ、篠笛(しのぶえ)などを演奏。
「笛吹きおじさん」を自称。
現在、マッサージ、はり業のかたわら、各地で演奏活動を行っている。
2004年NHK教育TV「きらっと生きる」に出演。


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今週、毎日新聞の情報紙
「Oh!Me」に掲載された心のページ

2003.12.04

障害者理解?

小、中学校で笛を吹いたり、自身の視覚障害の話をしはじめて10年になる。

話をすることは苦手だが、笛を吹かせてもらえるという嬉しい話につられて引き受けてしまったのだ。ところが、驚いたことに子供たちも大人も、目が見えないということを私以上に嘆いてくれるのだ。

こんな質問がよく出る。

「家族の顔が見たいと思いませんか?」
「どうやってご飯を食べるのですか?」
「なんで結婚できたのですか?」等々。

そうか、私にとって疑問ももたずに過ごしてきた事は見える人にとってとても不思議なことだったんだ。ただただ毎日マッサージの仕事と笛を吹いて暮らしてきた私は改めて視覚障害の自分を見つめることになった。

僕は小さい頃から星が好きで、宇宙の話しを聞くたびに星が見たいと思った。しし座流星群が現れるという年は本当に興奮した。なにしろ、一生に1度しか体験できない天体ショーなのだから。このときほど、「目が見えたらなあ」と思ったことはなかった。

「家族の顔ねえ。」

実は、この質問が出るまで家族の顔を見たいと思ったことはなかった。

「ご飯は口で食べるんだよ。左手でお茶碗をもって、右手でおはしをもってね」
「結婚かー。結婚は見えなくてもできるんだよ。見えない人がどうやって人を好きになると思う?おじさんはね、声や話の内容、一緒にいて楽しかったら好きになる。」などとわかったようなわからないような事を答えながらこんな事で視覚障害者の理解につながるのか不安になるのである。

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