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神様の啓示か?
民族紛争という簡単な言葉だけでは説明しきれないイラン戦争。経済問題、エネルギー問題など人間のエゴ、中東という地域がもつ地理的な要因、また多種の人種と文化、などが絡みあい簡単に解決するようには思われない。
このような世界の事情が変化する中で、びわ湖ホール会館5周年記念の演目は、アルキメデスの生まれ故郷であり、フェニキア人・ギリシャ人・アラブ人そしてノルマン人の支配を受け様々な文化が残るシチリアが舞台で、13世紀の不安定な時期として設定してあり、現在生きる者に対する「神様の啓示か?」と思いつつ会場へ向かった。
何といっても圧巻は「堀内康雄さん」
二日目の公演を鑑賞したのだか、バリトン堀内康雄さんの「ゴトン」とマイクが落ちたような声量には圧倒された。第1幕から終幕まですべて素晴らしかったが特に第3幕は圧巻。母国語でも不十分な私が、外国語に対して論評するのもいかがなものですが、パンフレットの「あらすじ」からすると「近松の世界」のような第3幕。堀内さんの言葉の滑らかさと表現力の豊かさにより確実に伝わった。そして「今、大変なものを聞いているのだ」という高揚した自分がそこに居ることを感じさせた。聞けば彼はミラノ在住だそうで、ヒギンズ氏や金田一氏なら「日本生まれ、ミラノ育ち」と判断するのでしょうか?
最初から最後まで、彼の滑らかで、流れるようで、ハリのある声に圧倒され続けた。
ダンスは踊る
ダンスは2度、第3幕と第5幕。会場全体が楽しんだようだ。第3幕の構成の面白さは秀逸。
シチリアという言葉が持つ意味は、東洋人にはあまり馴染みがない。しかし、第5幕で数名が踊る婚礼を祝うダンスの衣装にその意味するものが表れているような気がした。最上段で振られていたシチリアの旗の色と同じ色使いのその衣装は、ヨーロッパ人が解釈したシチリアという「東方文化のヨーロッパへの輸出基地」を表現しているように思われた。短い時間であったが、衣装とダンスをしている音楽の旋律は興味深いものであった。
最後に
寄席や歌舞伎の小屋の近くには旨い蕎麦屋のように、軽い飲食は付き物。ワインとケーキのサービスにはお腹にも満腹感を与えてくれて有難かった。自分が風邪気味だったせいかも知れないが、会場は少し寒く感じた。今回の歌劇の背景には不安定な世情があり、映画「山猫」、「サウンドオブミュージック」、「戦場のピアニスト」などの例を出すまでもなく戦争を背景にした映画も多い。しかし、救世主はそう簡単には現れない。今、救世主が現れていないということはさらに世の中が暗くなる可能性を示しているかも知れないが、「救世主を求めるような気持ちでは今生きている意味がない」そのようなことを感じさせる一日であった。
次回も若杉さんが総監督され、「十字軍のロンバルディア人」とのこと。
とても楽しみにしております。(成)
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