今回の素敵な人は動物生態写真家の須藤一成さん(米原市在住)。絶滅の危機にあるイヌワシを追い続け、その生態を研究する写真家である。 絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)イヌワシ イヌワシは日本に400羽ほどしかいない「国内希少野生動植物種」。天然記念物として保護されているものの年々その数は減り続け、絶滅が心配されている。人の手の届かない断崖に住み、山登りをする人でもめったに見かけない。須藤さんは長い年月をかけてイヌワシを追い続け、その生態の全てをとらえた初めての写真家だ。作品は、ダイナミックなイヌワシの活動や断崖での子育ての様子など、壮大で厳しい自然があふれるものばかり。 クマタカとの出会い 須藤さんがワシやタカなどの猛禽類に惹かれるようになったのは、中学生の時のこと。京都の北部でクマタカを偶然見つけたことがきっかけだ。当時は日本アルプスにしか生息しないと考えられていて、須藤さんも図鑑で見たことがあるだけだった。しかし、切り立った渓谷の合間を悠々と舞う姿に「これはクマタカだ!」と確信。他の鳥とは違う美しさに感動し、以来毎日のように山を歩き回るようになった。 環境を守ることも使命 「クマと出あったり、サルに囲まれたり……雪山にテントを張って眠ることもありますが、この仕事を辛いと思ったことはありません」と笑顔の須藤さん。 今後は自然環境を残す活動にも力を入れていく予定という。 動物たちを絶滅から救うには、個体を保護するだけでなく環境を守っていくことが重要。幸い、鈴鹿山脈から湖北にかけての山々は、イヌワシの生息に適した自然環境が残されている。特に伊吹山は須藤さんが永住の地に決めた大好きな山。 「イヌワシにとって必要な自然は人間にとっても不可欠なもの。豊かな自然を大切にしなければなりません」と須藤さん。 獣医師の奥さんも須藤さんと一緒に山を歩き、野性動物を保護したり猛禽類を調べて環境ホルモンについての調査などを続けている。 二人の願いはイヌワシが生息できる自然をいつまでも残していくこと。 これは私達地球市民全員の願いでもある。 (取材・川上)