安らぎの風景画 草花で描く里山 立体風景画作家 細川 静さん(75歳) (ほそかわしず) 今回の素敵な人は、立体風景画作家の細川静さん。マキノ町のアトリエ「ふくちゃん工房」を訪ねた。 大好きな里山の風景を 大好きな草花で描く 高島市マキノ町にある萱葺き屋根のアトリエ「ふくちゃん工房」。立体風景画作家・細川静さんのお宅だ。 「立体風景画」とは、静さんが考え出した独特の風景画のことで、ドライフラワーや苔、ススキ、枯木、小石などを使って里山の風景が美しく再現されている。アトリエには懐かしく温かい作品がズラリ。 静さんが「立体風景画」を始めたのは65歳の時。自然の草花で何かを作ってみたいという気持ちと、年を重ねるごとに強まる故郷や里山への思いから、身近な素材を使って表現することを思いついた。 作品にあふれる自然への感謝の気持ち 2年前までは草津市に住み、写真やテレビの映像を見て制作していた。しかし里山の風景に惹かれてマキノ町に移り住んでからは、本物の自然に囲まれますます創作意欲を高めていったという。 小さな木の実を取る時も「ごめんな」と声をかける。同じ景色をじっと眺めてその美しさに涙することも……。自然に感謝する心が作品にあふれている。 里山の風景をより多くの人に 静さんの作品づくりを強く支えるものがもう一つ。それは28歳で亡くなった長男の言葉だ。病床で何度も「外の景色を見たいなぁ。1日だけでいいから山を歩いてみたいなぁ」と、繰り返された言葉。今も静さんの心の中に強く残る。 長男が大好きだった自然。そして静さんの悲しみを癒やしてくれた自然の風景。 「里山の景色は心に安らぎを与えてくれます。より多くの人にそれを知っていただきたい。そして外の景色を見られない人には少しでも自然を感じていただけたら……」。静さんの作品にはそんな思いが込められている。 柔和なお顔とゆっくりやさしい口調の静さん。作品とともにその人柄に惹かれて繰り返し工房を訪れる人も多い。 「作品を通じてたくさんの方と出会えることが一番うれしいです」と静さん。「ふくちゃん工房」を訪れ、自分の故郷に帰ったような安らぎを感じていただきたい。 (取材・川上)