心のページ
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このページは市民から人格者と認められ、思想的に偏らない方に事務局からボランティアをお願いし、悩みの多い青少年や市民にメッセージを送っていただくコーナーです。



坂井孝之さん
プロフィール

昭和21年東京生まれ。
2歳の時、病気で失明。3歳より横浜訓盲学院で学ぶ。
高校2年生の時フルートと出会い、新井力夫氏に師事。
1970年第20回全国盲学生音楽コンクールにて優勝。
フルートのほか、リコーダー、オカリーナ、ケーナ、篠笛(しのぶえ)などを演奏。
「笛吹きおじさん」を自称。
現在、マッサージ、はり業のかたわら、各地で演奏活動を行っている。
2004年NHK教育TV「きらっと生きる」に出演。


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今週(12月11日号)、毎日新聞の情報紙
「Oh!Me」に掲載された心のページ

2003.12.11



小学校や中学校で演奏した後、生徒の皆さんにこんなお願いをすることがある。

「障害のある人と会った時、ジロジロ見ちゃダメよと言われたことはありませんか?おじさんはね、見ていてほしいと思います。危なくないかな、何か手伝うことはないかなと思って見ていてくれたら安心だし、嬉しいな」

福祉行政が進み、点字ブロックや車椅子のためのスロープ、駅にエレベーターやエスカレーターがついて随分便利になった。しかし、たとえば混んだ駅で、点字のキップ価格表を調べている時や道に迷った時に声をかけてもらうことは本当に助かる。

昨年の5月、JRの電車で声をかけられた。
「坂井さんですか?」若い男性の声だった。

返事をすると「今は大学生だけれど、中学の時笛とお話を聞いてとても印象に残った」と話してくれた。楽しいよもやま話をして別れたあと、覚えていてくれた事を嬉しいと思っていたら、また声をかけてくる人がいた。

「笛とお話は、どこでもしていただけるのですか?」

4人掛けの椅子に座っていたので、さっきの話が聞こえたのだろう。

真面目そうなやさしい感じの声の男性は、ある会社の工場長さんだった。2ヶ月後、その会社で笛を吹かせてもらったのだが、こんな声をかけてもらうのも嬉しい。

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