心のページ
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このページは市民から人格者と認められ、思想的に偏らない方に事務局からボランティアをお願いし、悩みの多い青少年や市民にメッセージを送っていただくコーナーです。
坂井孝之さんプロフィール

昭和21年東京生まれ。
2歳の時、病気で失明。3歳より横浜訓盲学院で学ぶ。
高校2年生の時フルートと出会い、新井力夫氏に師事。
1970年第20回全国盲学生音楽コンクールにて優勝。
フルートのほか、リコーダー、オカリーナ、ケーナ、篠笛(しのぶえ)などを演奏。
「笛吹きおじさん」を自称。
現在、マッサージ、はり業のかたわら、各地で演奏活動を行っている。
2004年NHK教育TV「きらっと生きる」に出演。


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今週(1月29日号)、毎日新聞の情報紙
「Oh!Me」に掲載された心のページ

2004.1.29



笛の演奏とお話をはじめて数年たった頃、「坂井さんの肩書やプロフィールが欲しい」と言われるようになった。「家業のマッサージのかたわら笛を吹いていると紹介してください」と言っていたが、度々望まれるので、とうとう妻が音をあげた。しかし、妻が書いたプロフィールで納得してもらえない事もあった。

たとえば、会の後援者である公民館が「お住まいの地域で何か団体の長をなさっていないのですか?人権教育指導員の資格はないのですか?それなのに講演を?」と聞いてきた。この公民館は肩書が無い事が不安なのだと気がつき、辞退した。結局、主催者が公民館を頼らずに会を開くことでこの件は落着した。

「あの人は力がある」という場合、それは、お金を持っている、勉強ができる、地位が高い、名誉がある・・・ということだろう。しかし、「金持ち・貧乏」「勉強ができる・できない」は必ずしも相反するものでは無い。たとえば、私はこの歳になって自分に与えられた力はもしかすると「目が見えないこと」ではないか?と思うことがある。見えないことはマイナスばかりだとは思わないのだ。

たいていの人は学校へ行ったり仕事をしたりすることで自分の力を知ることになるが、早々と自分の力を見極める必要は無い。歳をとってから気づくことがあってもよい。そして、自分の力に気づいたら、その力を何かの形で、誰かのために使うことが素敵で意味があることだと思う。

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