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ファッションモデルとして活躍し「パリ・コレクション」（以下「パリコレ」）のステージも経験。現在は美術教師として県内の公立中学校に勤務する阿部節子さんが今回の素敵な人。阿部さんが夢をかなえる過程で得た経験についてお話をうかがった。
教師を目指していていた大学時代。阿部さんは学校とアルバイトだけの毎日に「今のままの私で、子どもたちに何を教えられるだろう？」と疑問を感じた。将来教師になったときのために「興味があることに、もっと挑戦しよう！」と考え、雑誌で偶然見つけたモデルオーディションに応募。これを機にモデル事務所と契約し「大阪コレクション」などファッションショーを中心に活躍した。
何事もやるからにはトコトンやるという性格の阿部さん。モデルをはじめたときから、ファッションショーの最高峰「パリコレ」に出ることを目標にしていた。大学を卒業すると、パリで活動することを決意。半年後、パリでのモデル事務所捜しに、１週間の予定でフランスに渡った。
パリに到着したものの、電話で用件を伝えようとしても言葉が通じず、直接事務所を訪ねても、全く相手にされない。紹介者もなく、ましてやアジア人とあっては、スタートラインに立つことさえ容易でなかった。
それでもあきらめず事務所を訪ね歩いていると、偶然に出会った、たくさんの人たちに助けられた。
モデル事務所へ写真を配達しているドライバーが、一緒に事務所を回ってくれたり、現地で知り合った日本人が、ファッション業界の人たちの集まるパーティに招待してくれたり……。彼らは孤軍奮闘する阿部さんにたくさんのアドバイスをしてくれた。その結果、見事、モデル事務所との契約にこぎつけた。
モデル事務所と契約したからといって、すぐに仕事があるわけではない。パリには世界中のモデルが集まり、オーディションを受けているのだ。その中でも、アジア人が出演できるショーはわずか。仕事がとれずに悩み、体調を崩してしまうこともあった。「何をしにパリに来たのだろう」と不安にかられながらも、フランスと日本を行き来しながら、必死でオーディションを受け続けた。
そして、念願の「パリコレ」の舞台にも立つことができた。「多くの人に助けられて夢を実現できた。でも夢は実現した瞬間から過去になり、通過点になる。夢をかなえようと努力してきた過程が一番の財産」と阿部さんは振り返る。
モデルとしての夢をかなえた阿部さんは３年前、大学時代から目指していた教職の道に踏み出した。２年間の臨時講師を経て、今春からは美術教師として教壇に立つ毎日。「美術は自分が作りたいものを考えて形にするまでの過程を楽しむことができる教科。何もない『ゼロ』の状態から『１』にすることは大変だけど、そこに喜びがある。そのことを子どもたちに感じてほしい」と話す阿部さんの経験は、たくさんの子どもたちに伝えられていくだろう。（取材・瓜生）
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2024年04月25日
2024年04月1日
