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掲載日: 2010.04.7

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筆師 雲平筆15世 藤野 雲平さん(60歳・高島市在住)

400年の伝統を誇り、多くの書家に愛され続けてきた巻筆の名品「雲平筆」。雲平筆15世の藤野雲平さんは日本でただ一人、伝統の巻筆の技を今に伝え未来につなぐ筆師だ。

まとまりよく弾力ある筆

筆には、芯にする毛の根元を和紙で包み、その上に別の毛をかけて麻糸で締める「巻筆(紙巻筆)」と、毛を束ねただけの「水筆」がある。
大和時代初期、最初にわが国に伝わったのは巻筆。芯の部分をしっかりと作るため筆のまとまりがよく弾力があるのが特徴で、多くの書道家に愛されてきた。一方、水筆は江戸時代末期から明治時代にかけて伝わった。歴史が浅いにもかかわらず、墨の含みがよく短期間で作れることもあって現在ではこちらが主流になっている。
藤野さんが作るのは昔ながらの巻筆。今では巻筆を作る筆師は、日本で藤野さん1人になってしまい、滋賀県の伝統工芸品にも指定されている。
藤野さんが作る筆は雲平筆と呼ばれている。約400年前の1615(元和元)年、初代の藤野雲平さんが京都で筆工を営んだのが始まりで、5代目のときに近衛矛楽院家煕公から「攀桂堂」の屋号を与えられた。
現在、天平筆、兼毫筆龍籐巻筆、弘法大師流筆、藤原定家卿筆、上代様筆、光悦筆、道風朝臣用筆などさまざまな種類の巻筆を作っている。

書く人の好みに合わせる

藤野さんが筆作りを始めたのは18歳のとき。先代の作業を見て技術を身に付け、筆の良さを知るため18歳から30歳まで書道を習いながらの修業だった。
工程はすべて手作業。毛を麻糸で縛る「尾締め」、手すき和紙で穂の部分を巻きつける「紙巻き」などさまざまな工程があるが、特に時間をかけるのは、羊毛や鹿毛、イタチ毛などの毛を選別して筆の形にしていく「芯立て」。動物ごとに毛の特徴が異なり、個体によって毛の質も微妙に違うため、原料の見極めが難しい。この芯立てで筆の良し悪しが決まってしまうほどだという。柔らかいものや弾力のあるもの、粘りがあるのものなどを交ぜて目的の書き味を作り出す。
「書く人や書体によっても筆が変わります。書く人の話をよく聞き、好みに合わせて筆を作るようにしています」
職人の作業場と販売場所が一緒で、お客さんと直接話せる。使い手の意をくみ取り、その人に最適の筆を作り上げることを藤野さんは大切にしている。

長男も一緒に

「使って良かった」そう言ってもらえることが藤野さんにとって何よりの喜びだ。
あるとき書道家から源氏物語を書くために150本の筆を依頼されたことがあった。源氏物語は無事完成、作品は宇治の平等院へ奉納された。その際、150本の筆も共に納められたという。
「作品が評価されることがあっても、その道具にまで目を向けてもらえることはあまりないのでとてもうれしかった」
現在、3年間修業に出ていた長男の純一さん(27)が戻り、一緒に筆を作るようになった。60歳という節目の歳を迎え、新しいことに挑戦してみたいという。
(取材・澤井)

 

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