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掲載日: 2010.05.26

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左官職人 津田 誠一さん (76歳・大津市在住)

壁を塗る左官の技の一つに、鏝を使って、漆喰で立体的な絵を作り出す鏝絵がある。
左官のキャリア60年、全国文化財壁保存会理事でもある津田誠一さんの鏝絵が評判になっている。

きっかけはリハビリ

鏝絵とは主に民家や土蔵の壁に鏝で起伏をつけた漆喰装飾の一種で、昔から左官職人によって描かれてきた。歴史は古く奈良県の高松塚古墳の壁画にも見られる。江戸時代中期から盛んに描かれるようになり、名工入江長八の作品は芸術としても高く評価されている。

津田さんが本格的に鏝絵を描き始めたのは15年ほど前。事故で頸椎を傷めたのがきっかけだった。

「事故直後はもう仕事を続けるのは難しいかと思ったのですが、どうしても鏝が手放せず、リハビリがてら鏝絵を始めました」

鏝絵の存在は職業柄知っていた。伊豆へ旅行した際に入江長八の作品に出合い、大きな感銘を受け、遊び心でまねをして描いたことはあった。だが、本気になったのはけがをしてからだった。その後、体調は戻り、後遺症も残らなかったので、今は仕事の合間に鏝絵制作に励んでいる。

道具も手作り

津田さんの鏝絵は師匠に習ったものではなく、自らの工夫と努力で生み出した。細部を描くため道具を手作りし、漆喰に混ぜるのりの分量や下地の壁の厚みなども試行錯誤で探り当てた。

「漆喰が乾燥する前に形を整えないといけないので時間との勝負です。一度描き始めると食事をとれないこともあります」

これまでに制作した鏝絵は100作を超える。体の回復を感謝して葛川明王院に奉納した「不動明王」をはじめ、三井寺や唐崎神社などにも作品を奉納している。
ほとんどの作品は人に譲り、手元には残っていないが「喜んでもらえるとうれしくて」と笑う。

伝統技術を伝えたい

津田さんの作業場に遊びに来た息子さんの友人が鏝絵を見て「ぜひ展覧会をさせてほしい」と言ったことをきっかけに、昨年12月、大津市の公人屋敷で初の作品展「漆喰鏝絵展」を開いた。

「鏝で絵が描けるなんて、左官の見方が変わった」といった感想をはじめ、左官職人を引退した人から「こんな形でもう一度鏝を握ることもできるのか」と共感を得たり、弟子の職人から「左官職人として誇りに思う」と喜ばれたりした。

「左官技術を見直してもらえるきっかけになったようでうれしい。クロスや壁材の普及で需要が減った左官の仕事ですが、日本の伝統技術として伝えていきたいですね」
最近は鏝絵の取材や展示依頼を受けることが増えた。夏には改修中の姫路城で子ども向けイベント「漆喰で姫路城を描こう」に参加する。

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