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１人で出かけることのできないお年寄りや体の不自由な人の旅行や外出に同行して手助けしている「ＮＰＯ法人どこでも介護」。４年前、代表の大西友子さんが１人で始めた活動は、スタッフが６人に増えるなど、広がりをみせている。
これまでにフィリピンや京都、神戸、富山、若狭、滋賀県内各地など、さまざまな場所に同行してきた。
車椅子の夫婦が２組そろってでかけた思い出づくりの旅、かつて住んでいた場所を再訪する懐かしの旅、温泉地や保養施設への気分転換の旅のほか、ホテルのバイキングを楽しむという近場の旅もあった。
旅に出るとお年寄りは見違えるように元気になる。普段は歩けない人が、車椅子から降りて突然歩き出したこともある。思い出の場所を訪れて感動していたり、旅に出て喜んでいたりする表情には、スタッフまで幸せな気分になるという。
「旅は自分を見つめ直すいい機会。気持ちも活性化して若返ります。いつまでも元気でいるために旅や外出は欠かせないものなんです」
何度も利用して、元気になっているお年寄りもいるという。
リハビリ中の人にも旅は有効だ。「お出かけ」という目標があれば、頑張れるからだ。
活動は、大西さんが１人で始めた。介護職に就いて25年のキャリアがあり、要介護者のリハビリなどを指導する理学療法士や、介護福祉士の資格も持つ。
病院や老人保健施設で介護の仕事に携わる中で、「昔は旅行や外出を楽しんでいたが、今はもう無理」とあきらめているお年寄りが非常に多いことを残念に思っていた。そんなお年寄りの力になりたいと、06(平成18)年、「旅行介護サービスふれあい旅」を立ち上げた。
「とにかく困っている人を助けたい」との思いがあったが、旅行先での介護は、夜中のおむつ交換で睡眠を十分には取れない。さらに、病気を抱えている人の場合、生活のリズムが変わることに伴うリスクを想定しておかなければならないなど、予想していた以上に大変な活動だということが次第にわかってきた。
リスクの問題に対応でき、スタッフが責任を持ってサービスできるよう、09（平成21）年６月に有償ボランティアとしてＮＰＯ法人化した。
「参加された方に少しでも多くの思い出が残るように、旅先では写真をたくさん撮ることにしています。膨大な写真のどの１枚をとっても、そこにある笑顔は私にとってかけがえのない思い出であり宝物です」
旅の介護だけでなく、介護に対する意識を変えていきたいとの思いも持っている。介護に興味を持つきっかけになるような講座やフェスタを、市や行政と一緒に開催している。
（取材・鋒山）
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2024年05月9日
2024年05月1日
