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掲載日: 2010.12.8

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現代刀剣作家 北川 哲士さん (東近江市在住・31歳)

鉄の塊から鋭利で幽玄な美しさを放つ刀剣を作り出す刀匠の技。その技に魅了されて刀匠の世界に飛び込んだ北川哲士さんの第一作が「新作名刀展」で新人賞と優秀賞をダブル受賞した。次世代を担う若手刀剣作家として注目されている。

海外でも高い評価

強靭で鋭利なだけでなく、刃紋や地鉄の輝きなど、刀身自体の鋼の美しさに美術的価値がある日本刀。主に外装(拵え)に美術的価値を見いだす諸外国の刀剣と大きく異なることから、近年、海外でも高い評価を受けている。
大学でカメラマンをめざして写真を学んでいた北川さんは、テレビや雑誌で刀鍛冶の存在を知った。美術館や博物館で名刀を見て、存在感に魅せられた。幼いころから剣道を続けてきたこともあって、がぜん日本刀の世界に興味がわき、自分でも美しい刀を作ってみたいと感じるようになった。
「飛び込むなら若いうちに」。卒業と同時に日本を代表する名工の一人、長野県で備前伝を手掛ける宮入法廣氏に弟子入りした。備前伝とは鎌倉時代ごろから岡山県で作られた刀で、刃紋の華やかさに特徴がある。

朝から晩まで 刀鍛冶ざんまい

日本刀は砂鉄を原料とした玉鋼を主素材に、刃や芯部など部位ごとに性質の異なる鉄を“組み込み”ながら作っていく。
熱した鉄を何度も何度も数え切れないほど折り重ねながら鍛える「折り返し鍛練」で作られ、経験と勘が求められる。一通り覚えるだけでも最低5年はかかる。
寡黙で職人気質の師匠の教え方は「技術は見て覚えろ」。日中は師匠や兄弟子の作業を手伝い、夕食後に自分の練習をする……朝から晩まで刀鍛冶ざんまいの日々が続いた。
「見ていると簡単そうでも、いざ自分でやると、うまくいかない。器用ではなかったので、兄弟子たちが3回でできたことも自分は5回やってもできない。悔しさで挫折しそうになることもありましたが、刀を作りたいという強い思いは変わりませんでした」。
ひたすら繰り返して体で覚えることだけを念頭に修業に励んだ。

初出品でダブル受賞

一通りの技術を習得、08(平成20)年に作刀の資格を取得した。09(平成21)年、約5カ月をかけて初めて作った自作の刀を「新作名刀展」へ出品、新人賞と優秀賞のダブル受賞という快挙を成し遂げた。
協会は「優秀賞は特賞に次ぐ賞で初出品での受賞は珍しい」としている。
今年の同展で2年連続2回目の優秀賞を受賞して、自信をつけた。8年間の修業を終えて、10月に地元の東近江市に戻って工房を構えた。

鍛錬を続けていきたい

現在、全国に刀鍛冶の資格を持つ人は約300人いるとされているが、刀鍛冶だけで生計がたてられるのはわずか1割程度。仕事として成立させるのは難しく、年々刀鍛冶の数は減っている。滋賀県に刀鍛冶で生活している人は2~3人しかいない。
刀には刀匠の技量が映し出される。美術品として高く評価される古刀は、現代の日本の工業技術でも作れないと言われている。
「わずかな違いで同じものが二つと作れない奥深い世界。名刀と呼ばれる刀をめざし自己鍛錬を続けていきたい」。
若き刀匠の挑戦はまだ始まったばかりだ。
(取材・福本)

 

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