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掲載日: 2012.10.3

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花結び作家 田中 年子さん(東近江在住・71歳)

1本のひもを結んで、花や紋、動物などの形を表現する伝統的な技法「花結び」。田中年子さんはその美しさに魅せられ、50年近くも「花結び」の創作と体系化に打ち込んできた。
1992年には「日本結び文化学会」を設立。現在、副会長として、伝統や文化を広く知ってもらうための活動を続けている。

鍵代わりとして考案

梅、桜、藤、セミやチョウなどさまざまな形の花結び。「どんなに複雑に結ばれていても、ほどけば1本のひもになります」。いわばひもで描かれた一筆書きの芸術だ。
田中さんが花結びに出合ったのは64年。入門した石州流清水派の茶道の師匠・橋田正園さんが花結びを研究していて、茶入れ袋の「仕服結び」を見せてもらったのが最初だった。仕服結びとは戦国時代、主君の毒殺を防ぐために鍵の代わりとして考案されたものだ。自分だけが知っている結び方で結ぶことで、他人がほどいても簡単に結び直せないようにした。結び方を見れば他人が密かに袋を開いたかどうかも分かる。中には結び方を知っている人しかほどけない「真の封じ」という不思議な結び方もあるという。
どれもがカラフルでエレガントな美しさに満ちており、田中さんは1本のひもでいろんなものが表現できることに魅せられ、「やってみよう!」と決心した。

完成図から手順を復元

お手本は何十種類もの仕服結びを載せた「玉のあそび」という昔の本だった。だが、この本に描かれているのは完成図がほとんど。肝心の結び方の手順は載っていなかった。
「どのように結べばこの形になるの?」
橋田さんと共に、完成図から逆にたどって結び方を解明しながら図解し、記録していく毎日が続いた。
ひもを結んだりほどいたり、時間が経つのも忘れて夢中になった。
復元できた結び方は40種類。それを一冊の本にまとめ、橋田さんの名で1000冊自費出版した。茶道家元の茶会で300冊売れ、残り700冊は京都のお茶道具屋さんに置いてもらった。

暮らしの中にも生かす

この本の出版が大きな転機となった。東京在住の結びの研究家・額田巌さんの目にとまった。
「額田さんと出会って、仕服結びだけでなく、普段の生活で使える結びもあることを知りました」
以来、解明した基本の結びをアレンジしてネックレス、ベルト、壁掛け、額飾りなど、暮らしの中で生かせる結びを研究してきた。結びを組み合わせればできる形は限りなく、1本のひもでできているとは思えないほど複雑な結び方もあるという。

一人でも多くの人に

80年に初めて東京で教室を開いた。その後、静岡や岐阜、京都や滋賀などでも教え、現在、生徒は全国に約100人ほど。
30年間も通い続けている人や自宅で教室を開くまでになった人もいる。
また、国内各地や海外で展覧会を開催、自宅の一部を改装した「ギャラリー花むすび」でも作品を展示している。
「花結びは今でも香道や茶道の袋結び、神社仏閣、祭礼の鉾や山車などに使われていますが、昔のように日常生活ではあまり見られなくなりました。現代の暮らしの中にも生かせる結びがあることを多くの人に知ってほしいですね」
(取材・澤井)

 

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