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掲載日: 2013.10.29

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北村 紀興さん(近江八幡市在住・73歳)

米サンフランシスコを出港した小型のクルーザーが、3カ月かけて太平洋を横断し、9月3日、兵庫県の芦屋港に帰還した。乗組員は北村紀興(きたむらのりおき)さん(73)と、10年来の友人でカメラマンでもあるパートナー(65)の二人だけ。二人とも冒険家でもなければ航海士でもない。北村さんは13年前、還暦で仕事をリタイアして趣味でクルージングを始めた。「仕事も遊びもチャレンジ精神が大切」という北村さんに心の内を聞いてみた。

入念な計画でリスク回避

小型のヨットで太平洋を横断した例はあるが、小型モータークルーザーでの横断は珍しい。風で走るヨットは、風では転覆しないように設計されている。
これに対してモータークルーザーはスピードが出せるように水の抵抗を少なくし、重心も浅くされいるため転覆しやすい。また、太平洋を横断するには莫大な燃料が必要だが、ハワイ以外に適当な燃料補給基地がほとんど無い。太平洋横断がいかに難しいかを知りながら北村さんはあえてこれにチャレンジしたという。
日本の法律の関係でアメリカからスタートすることにした。愛用の船を売却し、アメリカで全長12㍍の中古船を買い直した。「海音(みお)号(孫の名前と同じ)」と名付けた船でサンフランシスコを6月3日に出港。
海流と風を計算しながらパートナーと二人で20日間かけて最初の目的地のハワイに到着した。ここで燃料補給した後、再び出航。
季節は夏。次々と台風が発生する。燃料効率を考え、さらに風と波を計算に入れながら超低速で航海を続け、小笠原にたどり着いたのは出航してから132日目の8月27日。だが、あと一歩のところをまたもや台風に見舞われ足止めを食った。焦っては元も子もない。
はやる気持ちを抑えながら慎重にタイミングをはかって出航。
9月3日、ついに兵庫県の芦屋に入港し、太平洋横断2万㌔、3カ月に及ぶ長旅を終えた。
昼も夜も船を止めないで交代で海を走り続けた。「向い波」は避けたいが、「追手波(後から追いかけてくる波)」や「横波」はもっと危険だ。
「燃料を節約するためにスピードを落とし、向かい風を避けながら遠回りしました。覚悟はしていましたが、パートナーと二人きりの100日近い旅は大変でした。登山も同じだと思いますが、心をコントロールしなければなりませんでした」

琵琶湖で楽しさを知った

北村さんは24歳で自らの会社を設立し、猛烈に働いた。一方で人生を楽しむことにも熱心で、アマチュアのラリードライバーとして活躍。だが40歳のとき、大事故を目の当たりにして家族に大きな心配を掛けていることを悟った。
「趣味とはいえ、家族に心配を掛けるようではだめだと反省し、きっぱりA級ライセンスを返上しました」
その後は琵琶湖でおとなしくボートを楽しむつもりだったが……船は車よりも扱いが難しく、またもや夢中になった。

できる理由積み上げよう

60歳で後進に会社を譲り、「これからは毎年一つずつ新しい事に挑戦していこう」と決心。ボートも琵琶湖から敦賀港へ移した。毎年航海距離を伸ばし、沖縄、北海道、釜山、小笠原諸島……とクルージング、日本一周も3回達成した。太平洋横断はこの延長線上にあった。
「楽しみを味わうには楽しむ努力が必要です。自転車でも何でもいいので挑戦してみることです。できない理由を探すよりも、できる理由を積み上げ、チャレンジする方が幸せでしょう」
日常生活に流されがちなタイミングで、大きな“喝”を入れられた。
(取材・越智田)

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