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力士の締め込み  織り続けて20年 

掲載日: 2023.03.16

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締め込み織師 中川 正信さん (長浜市在住・70歳)

本場所の土俵で幕内の力士が腰に締めるまわしのことを「締め込み」という。長浜市西浅井町にある株式会社おび弘山門(やまかど)工場に勤める中川正信さんは、全国的にも珍しい手織りの締め込みを20年間作り続けている。横綱の日馬富士関は十両から愛用するなど、中川さんの締め込みを愛用する力士は多い。伝統を伝えるため工場見学も積極的に受け入れている。

 

足がけいれんするほどの重労働

中川さんが締め込みを織る仕事を始めたきっかけは、京都の帯メーカー「おび弘」の親戚だった奧さんと結婚したことに始まる。それまで魚の卸し業をしていたが、結婚を機におび弘山門工場で働くようになった。
初めて見る「はた織り機」に戸惑ったが、「どんな仕事でも一から始まる。一生懸命やるしかない」と、技術や感覚を必死で覚えた。最初は着物の帯を織っていたが、20年前からは締め込みを織るようになった。日本でおそらく1台しかないという、中川さんの手織専用織り機にはメモリやダイヤルがなく、手の感覚や長年の勘を頼りに織る。
絹は湿気を吸うと伸び、1ミリずれても生地の表面が波打つので「硬すぎず柔らかすぎず」に仕上げるため、手で押さえて調整する。縦糸は15,000本の羽二重で30,000本、これを足で板を踏んで上げるのでかなりの重労働だ。夜、寝ているとき足にけいれんが起こることもあるという。緯糸(よこいと)は5種類の太さの違う18~21本の糸を合わせて使う。それから縦糸の間に緯糸を通すのに使う杼(ひ)という道具を滑らせながら、30~40㎏もある重い框(かまち)を押したり引いたりして織る。30分で12センチほどしか織れない。締め込みの長さは7メートルほど。元横綱の曙関のときは10メートル以上織ったという。「手織りの締め込みは絹の美しい光沢があって肌触りがよく、しなやかで締めやすい。手足が痛いこともあるが職場に入ればスイッチが入ります」

雲の上の人がつけてくれる

織り上がった生地

本場所の番付が決まってから締め込みの注文が来る。休日なしで5~6日間、朝5時から夕方5時まで織ってやっと1本が仕上がる。
後援会や仲買人から依頼が来るので、どの力士の手に渡るのかわからないが3~4センチの金糸の目印や色で大体分るという。場所が始まり、テレビ中継で、自分の織った締め込みを締めた関取を応援するのが楽しみで、朝青龍関は触り心地がいいと気に入ってくれ、仲買いなしで2~3本注文してくれた。魁皇関や曙関は色が薄くなるまで長年つけてくれた。日馬富士関は十両から使ってくれ、だんだん昇進して横綱になったときはうれしかった。
「雲の上のような皆さんが身につけてくださることに感謝です。ボタンひとつでできる自動織機の締め込みよりも、手織りがいいという力士が100人のうち10人ほどでもいればうれしい。コンビニの機械でにぎったおにぎりか、母の作った愛情のこもったおにぎりかという感覚でしょう」

自然いっぱいの山門の地から発信

「山門水源の森」入口

長浜市西浅井町山門は、山門水源の森などがあり自然にあふれている。はた織り機がずらりと並ぶ工場は全国的にも珍しく見学に来る人も多い。
「昔は『織物技術を盗まれる』と関係者以外は立ち入り禁止でしたが、こうした伝統的なものを滋賀県の自然の中で作っていることを多くの人に知ってほしいと考え、見学者を受け入れています。実物を見て興味を持ってほしいです」
(取材:2016年7月 鋒山)

☆見学希望者は、おび弘のフェイスブックで告知される団体見学受付情報を参照

●お 問い合わせ
株式会社おび弘
京都市北区紫竹牛若町29
TEL:075-491-4311
(電話受付:祝日を除く月~金、9:00~17:00)

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