近江鉄道新八日市駅
駅務員 中嶋 恵造(なかしま けいぞう)さん(東近江市在住・59歳)
大企業を早期退職し、子どもの頃から憧れていた夢を実現した中嶋恵造さん。大正時代に建てられた歴史的建造物の駅舎で、今日も乗客の安全と快適な利用を支える駅務員としてホームに立つ。
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大企業を早期退職し、子どもの頃から憧れていた夢を実現した中嶋恵造さん。大正時代に建てられた歴史的建造物の駅舎で、今日も乗客の安全と快適な利用を支える駅務員としてホームに立つ。
大手電力会社に永年勤務していた中嶋さん。会社には56歳ころになると、本体企業に残るか出向するか、退職してやりたい仕事に進むかを選択する時期があった。
幼いころから列車の運転士になることを夢見ていた中嶋さんだったが諸事情で鉄道会社への就職は断念し、別の道へと進んだ。仕事は楽しかったが、やはり「早期退職して、運転士は無理でも大好きな鉄道関係の仕事がしてみたい。人生は一度きり。このチャンスを逃したら一生悔いが残るかもしれない」と常々思っていた。
ネットなどで鉄道会社の求人状況をチェックするなど、在職中から次のステージへの準備を始めていた。そんなある日、近江鉄道のホームページを見ているとキャリア採用の募集記事が目に留まった。
岐阜県で生まれ育った中嶋さんが近江鉄道を知ったのは10年ほど前。休日を利用して、金土日祝に利用できる近江鉄道(電車)全線1日乗り降り自由の1デイスマイルチケットを使って、米原~貴生川駅間の沿線風景を楽しんだことがある。
桜川駅から朝日野駅にかけて広がる風景が、幼い頃祖母と乗ったローカル鉄道から見た風景と良く似ていて、懐かしい昔の記憶が蘇って来た。米原駅では運転士がカメラを手にした中嶋さんを見て、停車中の電車のヘッドライトを点灯してくれたこともあった。中嶋さんは感動した。近江鉄道は優しい人がたくさんいる会社だと思ったという。
その後中嶋さんは、念願叶って近江鉄道のキャリア採用試験に合格した。56歳の時だった。
中嶋さんは今月20日で入社4年目を迎える。中嶋さんが一人で勤務する新八日市駅の業務時間は、平日の朝7時30分から8時50分迄と夕方16時から19時30分迄で、その他の時間や土日祝は無人駅となる。
新八日市駅の乗降客数は一日平均約861人(2024年度)だが、中嶋さんは改札口を通る乗客一人ひとりに「おはようございます」「ありがとうございます」と挨拶してコミュニケーションを図っている。毎日利用するお客さまや賑やかな話し声が絶えない高校生の姿を見ることで元気が貰えると話す。
新八日市駅は1922(大正11)年に建てられた木造駅舎で、大正ロマンを感じさせる歴史的建造物として地域の人たちの自慢の建物となっている。毎年春と秋には、地元自治会の人たちと近江鉄道の社員が一緒になって駅舎の周りに生えた草の刈り取り作業や清掃活動を行っている。
「ホームに立って入線する電車と発車する電車の安全を確認する作業は、駅務員として一番誇りに感じる瞬間です。駅務員になれて本当に良かったです」(取材・髙山)
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●近江鉄道 鉄道部
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