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掲載日: 2011.08.31

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望月聡さん(大津市・47歳)

びこわ成蹊スポーツ大学准教授
日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ
日本女子代表コーチ

昨年本欄登場の「なでしこジャパン」ヘッドコーチの望月聡さん。
このほどワールドカップ金メダル獲得の快挙を成し遂げられました。
何が金メダルを可能にしたのか。高校時代のサッカーの師である松田保さん(現・びこわ成蹊スポーツ大学教授)と師弟対談、快挙の秘密を披露していただきました。

英国戦の敗北が
金メダルを呼び寄せた?

望月准教授(左)と松田教授

松田 どのあたりで「これは、いける!」と思いましたか?
望月 準々決勝のドイツ戦で勝ったときです。FIFAランキングで日本は4位、しかし、ドイツは日本よりも上位の2位。ドイツに勝つのは厳しいと予測されてました。

松田 誰もがドイツ有利とみていましたね
望月 口には出さずとも皆、「ここで終わるだろう」と覚悟していたかも知れません。

松田 でも、勝った……。その要因は?
望月 予選リーグでイングランドに負けたことです。予選リーグの相手はニュージーランド、メキシコ、イングランド。いずれも格下なので1位になれる。そうすれば決勝のトーナメントで強豪のアメリカ、ドイツ、ブラジルと最初に対戦しないで済むと考えていました。
ところが、イングランドに、まさかの敗北。予選リーグで2位になり、決勝トーナメントの初戦がドイツになってしまいました。「これはヤバイ!」と思いました。だから仕方なく、ビデオでイングランド戦の試合を徹底分析。そしたら、日本のプレーがバラバラで、チームワークがまったくとれていないことが分かりました。

松田 イングランド戦の敗戦が、なでしこジャパンの意識を変えたわけですね。反対に、ドイツは油断してしまった?
望月 イングランドに負けたからこそ、日本は自分たちを見つめ直すことができたのです。

選手の自主性と主体性尊重

松田 伸び伸びとプレーしながら、試合ごとに進化していく、なでしこは本当にすごい。なでしこのコーチングポリシーのポイントはどこにあるのですか?
望月 選手を指導するのは、監督、ヘッドコーチ、テクニカルコーチ、ゴールキーパーコーチ、この4人です。

松田 ヘッドコーチの望月君も大変だけど、テクニカルコーチも大変らしいですね?
望月 そうです。試合が終わると、すぐに収録したビデオを分析し、必要なところだけを翌日には選手に見せて指導します。だから、寝る時間が無いほどです。

松田 精神面の指導は?
望月 選手の自主性、主体性を尊重し、自立したサッカーをさせるようにしています。「命令」よりも「問いかけ」です。「君だったらどうする?」「あれが逆だったらどうする?」。このやり方は松田先生からご指導いただいたものですよ。

ハングリーな環境が育んだ「粘り強さ」

松田 なでしこの「あきらめない粘り強さ」は多くの感動を呼びましたね。
望月 女子サッカーの環境の厳しさが、あの「粘り強さ」につながっていると思います。男子サッカーと比べると経済面で、女子サッカーは非常に厳しいものがあります。生活のために選手はアルバイトをしています。これが「あきらめない粘り強さ」の原動力につながっているのかも知れません。

(取材・越智田)

【取材こぼれ話】

※ 以下は、紙面の関係で
情報紙オーミには、掲載のないインタビューです。

松田 あれだけ伸び伸びとプレーしながら試合ごとに進化していく…なでしこジャパンは、すごいチームですね。
コーチの指導について、もう少し話してもらえませんか。

望月 映像による指導は、選手が自分を客観視するために最も有効です。チーム全員の共通理解や実戦向けのイメージトレーニングにも役立ちます。
「お前なあ~、守備、全然できてないぞ」と口で言うのではなく、
映像を見ながら「ほら、このとき、お前だけが休んでいるぞ…」と指導する方がうまく説得できます。
これが「なでしこのチームワークの良さ」を生み出だしています。

松田 画像は客観的ですからね。
選手との共通理解のためには有効ですよね。

望月 今回だけでなく、いつも試合が終わるたびに徹底してビデオを見せています。
私が「試合のビデオを見ておけ」と指示しなくても、
選手同士が自主的に声を掛け合って集まってきて、くり返しビデオを見ながら勉強しています。

男子の選手なら、こうはいかないのですが、女子って、スゴイなあと思います。

松田 女性は昔から「井戸ばた会議」が好きですよね。
集まっておしゃべりするのが好きな女性の特性を、うまく活かしていますね。

望月 選手の自主性を尊重し、自立したサッカーをさせる「プレイヤーズ・ファースト」が
基本なのも日本のコーチ法の特徴です。

「命令」よりも「問いかけ」です。
コーチが言い過ぎないように気配りしながら選手に話をさせます。
「君だったらどうする?」「これが試合だったらどうする?」と言うように。

練習のときは、どうしても一部分だけを見てしまいがちです。
パスならパスだけ、シュートならシュートだけ、というように。

試合中はシュート一つでも、全体の動きの中にあります。
この自主性の尊重こそ、松田先生から教えられたものですよ。(笑い)
時には、サッカーを離れて人生相談を受けることもありますが、
そのときも「○○○○やったらどうする?」と問いかけるようにしています。

「面白くなければサッカーじゃない」というのが私の自論です。
言うまでもなく「面白い」というのは「ふざける」のとは全く違いますが・・・。

「必死に歯を食いしばる自分を楽しむ」
「ここを乗り越えたら…という気持を楽しむ」
こんな面白さです。

練習メニューを考える場合も同じように「楽しむ姿勢」を養ってくれるように工夫しています。
もちろん、モチベーションを上げるための「声かけ」や「ムード作り」などにも留意していますがね。

松田 「澤選手」がチームの核となって、良い方向へ引っぱって行ってくれたことも
印象的でしたね。

望月 そうです。いつも「決断力のある選手を育てる」ように力を注いでいます。
それは「試合中に、チームの中で監督の役目をしてくれる選手が欲しい」からです。

グランドの中でしか分からない雰囲気をしっかり把握し、
チームを引っ張っていく存在が必要なのです。

今回、澤選手はその役目をしっかり果たしてくれました。
だから、彼女なしでは金メダルは無かったと思います。
声を出すだけではなく、行動し、相手に激しくぶつかり、
倒れてもすぐに起き上がって点を取るリーダーがいたことが、金メダルにつながりました。

松田 4年前の北京オリンピックでは、3位決定戦でドイツに敗れました。
だから銅メダルさえ取れなかった。

今回はあのときの悔しさをバネに、しっかり目標設定し、着実にそのステップを踏んできた。
その成果が金メダルだったと言うわけですね。

望月 元々、日本の女子サッカーの目標は2015年までにオリンピックやワールドカップで優勝することでした。
だから4年も早く目標を達成したことになります。

松田 一般論ですが、スポーツを成熟させるには100年かかると言われています。
だから、日本の女子サッカーも100年かかるはずだったのに、それを30年でやった。
スゴイですねえ。
今回の金メダルは、男女平等社会のパラダイムシフトをもたらすと思いますが。

望月 女子サッカーを志す女性がもっと増えてくれることを期待しています。

松田 うちの大学(びわこ成蹊スポーツ大学)の女子サッカー同好会も、
今年、クラブに昇格しました。

まだまだ半分以上が素人で、関西学生リーグの2部からのスタートです。
でも、みんな頑張っています。

本日はありがとうございました。
これからスゴイ過密スケジュールだそうですが、ガンバってください。

(取材・越智田)

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