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掲載日: 2011.12.20

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画家・成安造形大学准教授伊庭 靖子さん

身近にあるものを撮影し、そこからイメージした心の世界を描いている画家の伊庭靖子さん。「光」に着眼して、透明感に満ちた作品は、見る人を不思議な世界に導いていく。

1枚の写真に魅せられて

きかっけは「植物を接写した写真」だった。「ピントが合っている世界からピントのボケている世界への流れ」「具象から抽象への変質」を感じて、引き込まれた。
伊庭さんは京都の美術短期大学の版画科専攻科でシルクスクリーンと写真を学んだ。当時制作していた版画作品にある種の行き詰まりを感じて、ふと「写真を描いてみよう」と思い立った。
写真を絵にすると、いろいろなものが抜け落ちる反面、感覚で捉えた世界を自由に加えていくことができると気づいた。作品を見る人に「あなたはどんな物の見方をしていますか」と、問いかけていくことにもなると思った。
こうして、写真から感じ取った世界を自分の気持ちの中で発酵させ、それを別の世界で表現していくようになった。

独学で、新手法身につける

伊庭さんは祖父も父も画家で、実家は画塾。油絵は幼い頃から身近にあったもののあまり好きではなく、教えてもらったことはなかった。それなのに、油絵具で描いてみたいと思った。パレットとナイフを父から譲り受けて、挑戦した。最初は写真のぼやけたところがうまく描けなかったが、1年余り試行錯誤を重ね、筆でたたいてぼかす技を身につけていった。94年に京都で、そして翌年には大阪で個展を開き、自分なりに手応えを感じた。

形のない「光」を描く

01年から1年間、文化庁在外研修員としてニューヨークに滞在。この頃から作風が明確になってきた。
光や質のある世界を描く面白さに魅せられ、白いクッションやソファなどを描くようになった。
さらに、その質感の魅せ方を探る試みとして、模様のあるクッションや陶器を描くようになった。
最初は植物や服の襟元、果物などを、モチーフがはっきりとは分からない表現で描いていたが、今ではモチーフが何であるかはっきりと分かる表現が中心となっている。
伊庭さんは2000年から成安造形大学で教えるようになり、滋賀県立近代美術館をはじめ多くの美術館に作品が展示・収蔵されている。
今年は、滋賀県から文化奨励賞を受賞して、10月に完成した大津びわ湖合同庁舎のロビーにも湖東焼をモチーフにした作品が展示されている。
(取材・澤井)

 

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