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掲載日: 2013.08.15

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大西新之助商店 大西 實さん(彦根市在住・66歳)

「上布(じょうふ)」とは、細い麻糸で織った高級織物のこと。近江上布のほかに、越後上布、能登上布、宮古上布などが有名だ。伝統工芸士の大西實(おおにしみのる)さんは近江上布の伝統を伝える数少ない人の1人。「おうみの名工」として、昨年は滋賀県文化奨励賞も受賞した。「新之助上布」と呼ばれる大西さんの上布は伝統的な世界に固執せず、意外なほど現代的だ。

二つと無い一点物

滋賀県の湖東地域で織られる麻布の「近江上布」には600~700年の歴史がある。
「本来、工芸品は芸術品と違って、暮らしの中で使われてこそ意味があります。人の暮らしは時代によって変化しますので、工芸品も時代に歩調を合わせて変化するのが当然です」
伝統だからといって、何が何でも昔のままを貫くのは不自然だと大西さんはいう。
昔の着物や絵などを参考にはするが、あくまで自分の感性でデザインしていく。
社会の中で使われている色を参考にしながら時代の色も織り込んでいくのだ。
近江上布は心地よい肌触りが特徴だが、この肌触りを出すために極細の糸を使うため、織るときに切れやすい。1本の糸を通すたびに糸の張りの強さを調節し、根気強く慎重に織っていく。
「織り」に要する時間は10日から15日。だが、それ以上に時間がかかるのが下準備だ。柄を考え、型紙を作り、糸を染めてはじめて織りに入ることができる。
だから、1年間に作れる製品は10反程度。出来上がった製品は同じものが二つと無い一点物だ。昔は分業体制が整っていたが、職人が減った今は麻糸の調達以外は全て1人でこなさなければならない。
「1人でやっていますので、結果的に求められているものが肌で感じられます。災い転じて福となすですね」

失敗しながら技術を覚える

若いとき大西さんはサラリーマンをしていたが、事情により先代で父の大西新之助(おおにししんのすけ)さんが始めた店を継ぐことになった。
「最初は、しょうがないなぁと諦めていました」
父はあまり教えてくれなかったので、見まねで織るしかなかった。失敗の連続だったが、普段の生活の中から思いついたデザインを積極的に織物にしていった。
「習うより慣れろ」という通り、数をこなしているうちに仕事に慣れ、気が付けば近江上布の魅力にどっぷり浸かっていた。

直販で価格も抑え

10年ほど前から全国各地のギャラリーで展示会を開くようになり、デパートの物産展などにも参加。また、4年前からはネットショップも立ち上げ、「近江上布」の人気を全国に広めようと努力している。
価格を抑えるために直販に力を入れ、機械織りの製品も扱っている。若いスタッフと力を合わせ、シャツ、ネクタイ、ストール、バッグ、足袋などの商品開発にも取り組んでいる。
正月以外は休みなしで、コツコツと機(はた)を織る姿は職人そのものだ。
(取材・鋒山)

 

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